でも、確かに頭を振ったら余計にぐわんぐわんした気はする。
 モザイクが取れて視界がクリアになったとき、目の前にある時計に驚いた。
 短針は六と七の間くらいで、長針は七の少し手前。
 うわっ、六時三十四分っ――。
「本当に六時半っ、ごめんなさいごめんなさいごめんなさいっ。一生懸命やるから起案書取り上げないでっ? あ、それとも……もう作り終わっちゃった?」
 掴んでいる手をブンブン振ってひたすら謝ってひたすらお願いしてみたけれど、もう作り終えてたらどうしようっ!?
 ツカサはブンブン振られた手を、「落ち着け」と言わんばかりに止めては離し、ため息混じりに口を開く。
「そんなに必死に請われなくたって取り上げたりしない」
「本当っ!?」
 じっとツカサを見ると、「本当」と答えてくれた。