「翠葉ちゃん、司が迎えに来たよ」
「……ん」
 優しく体を揺すられ、起こされていることに気づく。
「う……は?」
「……それ何語?」
 あれ? 私、今何を言っただろう?
 ツカサ、と言ったつもりだったのだけど……。
 目を開けたら自分の左側にツカサがいた。
 でも、起こしてくれた声はツカサのものではなかった気がする。
「おはよう。よく眠れたようで何より。もう六時半だけどね」
 ツカサがあまりにもきれいに笑うから、一瞬何を言われたのかわからなかった。
 言われたことを何度か反復して意味を理解する。
 え――六時半?
「わ、嘘っっっ――」