光のもとでⅠ

「っ……そこまでではっ――」
 思っていない、と言いたいのに言葉が続けられなかった。
 私がドキドキしだすと、秋斗さんはいつも嬉しそうに笑う。
 その笑顔すら心臓に悪いというのに……。
「じゃ、横になって休めばいいと思うよ?」
「あ……」
 その提案、大賛成――。
「そうしますっ――」
 秋斗さんと真逆にあるソファで早くお布団をかぶってしまいたい。
 スツールに座ったまま急いで回れ右。
 立ち上がり歩きだそうとしたそのとき、左肩を掴まれ秋斗さんの胸に逆戻り。
 ポスン、と背中が白衣に当たると、また香水がふわりと香った。
 私がつけても再現できない香り――人の体温が作り出す香り。