光のもとでⅠ

 気づいたら、頭を縦に振ることしかできなかった。
 まるでバカのひとつ覚えみたいにずっと上げ下げしていた。
「良かった、わかってもらえて」
 その言葉に顔を上げると、甘い笑顔の秋斗さんがいて、ドキドキ鳴っている心臓が一瞬リズムを変えた。
「わ、わわっ――」
 もうやだ、何を口走っているんだろう。
 でも、だって、心臓がドドドド、ってすごい駆け足を始めるから。
「あのっ、心臓がうるさくて――どうしよう……」
 両手で胸を押さえるけれど、意味がないことくらい知っている。
 状況判断状況整理っ――。
 うろたえる私に、
「全力で逃げちゃいたい?」
 尋ねてくるのは秋斗さんしかいない。