光のもとでⅠ

「お話……聞いてくれてありがとうございました」
「……ねぇ、翠葉ちゃん。俺は何か役に立てた?」
「え……?」
「前々から感じてはいたんだけど、翠葉ちゃんは自分にできることがとても少ないって思い込んでいるみたいだけど、そんなことはないんだよ」
 秋斗さん……?
「俺にハーブティーの淹れ方を教えてくれたのは翠葉ちゃんで、俺に人を好きになるっていう気持ちを教えてくれたのも翠葉ちゃんだ。心の底から『ありがとう』って口にできるようになったのも君に出逢ってからだと思う」
 秋斗さんの物言いがストレートなのはいつものことだけれど、感情をむき出しにしたあとの私の心には、いつもよりダイレクトに言葉が届く。
 瞬きするのも忘れていたと思う。