自宅でひとり泣いているのとはわけが違う。
 きゅ、と唇に力をこめ、口もとだけでも笑みを作れないかとがんばってみた。
「何度でもって言葉が――」
 がんばって普通に話そうと思うのに、突如しゃくりあげるそれが邪魔をする。
 でも、話さなくちゃ……。
 息継ぎをせずになら話せるかな。
「ここ最近、身近な人たちにたくさん言ってもらっている言葉で――」
「翠葉ちゃん、何かつらいことあった?」
「っ……!?」
 顔を上げたら、秋斗さんが切なそうな顔で私を見ていた。
「翠葉ちゃん、目を押さえているのに口もとだけ口角を上げても『大丈夫』には見えない。そんな顔は笑っているようには見えないんだよ」
 そう言うと、秋斗さんは私の側まで移動した。