「いらっしゃい」と出迎えてくれた秋斗さんに挨拶もせず、
「秋斗さん、聞いてくださいっ!」
「何かいいことあった?」
「休憩が終わったら起案書を作らせてもらえることになったんです! 初めてなんですよ。いつも計算ばかりだったけど、初めて起案書作らせてもらえるんですっ!」
 秋斗さんは少し驚いた顔をしたけれど、「良かったね」とふわりと笑ってくれた。
「でも、起案書なんて作ったことないから、ほかの人が作ったものを参考にしなくちゃ……」
 確か、起案書や企画書のプリントアウトされたもののファイルをツカサが管理していた気がする。
 嵐子先輩が「本当は私の仕事なんだけどねぇ」と笑いながら話していたのを覚えている。
 嵐子先輩は文化部ということもあり、忙しく動き回っていてファイリングする書類が常に山積みの状態だったのだ。