衣装合わせが済むと、私は図書室へ戻り、桃華さんと先輩ふたりは歌合せに向かった。
 相変わらず何を歌うのかは教えてもらえないのだけれど、順番で言うなら私の前に生徒会女子メンバーの歌がある。
 私が立つステージは円形ステージで、桃華さんたちが立つのは北側にある備え付けの半月ステージ。
「……遠いな。そのステージ、私見られるのかな?」
「ん?」
 一緒に会計の作業に当たっていた優太先輩にひとり言を聞かれてしまった。
「すみません、なんでもないです」
 今はツカサも歌合せで図書室にはいなかった。
「なんのステージ?」
「え? あ……桃華さんたちのステージです」
 でも、考えてみればツカサのステージだって見られるのかは不明なのだ。
 スタンバイ時は必ず円形ステージの下にいるのだから。