光のもとでⅠ

「……はい。お邪魔しました。あと、ご馳走様でした。……それから、ありがとうございます」
 秋斗さんはクスクスと笑い、
「そんな恐縮しないで?」
 私は浅く腰を折り、秋斗さんの仕事部屋を出るとすぐツカサに声をかけられた。
「この金額の充当だけど――」
「ツカサ、ごめん。すぐに戻るから――お水だけ買ってきてもいい?」
「いいけど……」
「ごめんね、すぐに戻るから」
 かばんからコインケースだけ取り出し図書室を出た。

 六時を回れば外は薄暗い。
 それでも、テラスには明かりが灯り作業している人もいて、普段ならホームルームのあと三十分後には閉められてしまう教室のほとんどに電気がついている。
 私は自分の手を見ながら、図書棟の一番近くにある自販機に向かって歩いていた。