大切でかけがえのないものだから、手放すのが怖いのかな。
 いつかなくなってしまうことが怖いのかな。
 家族以外にそんな存在があるなんて知らなかった。
 きっと、私はこれから何度も立ち止まるのだろう。
 でも、そのたびに前へ進む選択をしたい。
 できれば、人に頼らず自分の力で――。
 夏休み、インターハイ前のツカサに、「大丈夫だからがんばってって言ってほしい」とお願いされたとき、とても嬉しかった。
 決して頼られたわけではない。
 そんなたいそうな出来事ではないけれど、自分に求められたことがとても嬉しかったのだ。
 二学期は生徒会で自分に割り当てられた仕事があって、自分の居場所を感じることができた。