「因みに、うちの掛け金はひとつの約束でいいよ」
 掛け金に約束……?
「翠葉が十年先も二十年先も、ずっと俺と友達でいてくれるって言うならそれでいい」
「……ずるいのはどっちだよ。それ、十分すぎる言質だろ?」
 ツカサは大仰にため息をついた。
 でも、そんなの掛け金にならない。
 だって、私は蒼兄と秋斗さんの関係に憧れている。
 そのふたりですら八年の付き合いなのだ。
 それなのに、十年も二十年も先の保障をしてもらえるなんて――。
 高校三年間の倍以上、今まで生きてきた年月よりももっと長い。
 私は二十年だって三十年だって海斗くんの友達でいたいし、ツカサの側にいたい。
「翠葉、それ……出てやってよ」
 海斗くんに携帯を指差される。