光のもとでⅠ

 お願い――今はこの手を私に貸して。
 ツカサの手は私の手よりもあたたかくて、ぬくもりが少しの安心を与えてくれた。
 もっと、と望む私は、相馬先生がいつもしてくれるみたいに、その手を額の部分に当てる。
 いつもならこうしてもらうことで気分が落ち着くのに、今は無理みたい。
 涙腺が壊れたんじゃないかと思うほどに涙は止らない。
 泣きすぎて頭が痛い。
 気づけば耳に心音が届く。
 トクントクン――ツカサの胸から規則正しい心音が聞こえてきて、呼吸をそれに合わせたら少しだけ楽だった。
 それでも、鳴っては止り鳴っては止り、を繰り返す携帯の音はずっと続いていて、回を重ねるごとに身が縮こまる。
 電子音じゃなくて、ツカサの心音のほうがずっといい――。
 でも、どうやっても心音よりも鮮明に聞こえるのは着信音。
 それから逃れたくて、ツカサの手を放し自分の耳を塞いだ。