いつも、「大丈夫」「大好きだよ」と言ってくれる人たちなのに、私の体調にも心にも気を配ってくれる人たちなのに――。
 どうしてこんなにも怖がらなくてはいけないのか。
 頭ではわかっているつもりなのに、どうしても心が伴わない。
 ひとりでがんばらなくちゃ、と思うのに、私はツカサの名前を口にしてしまう。
「助けて、ツカサ――」
 そのとき、インターホンが鳴った。
 その音にすら身体が反応する。
 怖い――と。
 インターホンは三回鳴ったけど、私は立ち上がることもできずに座り込んでいた。
 次にゲストルームの固定電話が鳴り響く。
 広く静かなこの部屋に、音は異様なまでに反響する。
 コール音が鳴るたびに身体が強張っていく。