佐野くんの口にした「怖い」は自分の「怖い」と共通する部分がある気がした。
 だから自然と口が開いたのかな。
「ここにいる友達は中学の同級生とは違うってわかっているのに、体調が理由で一緒に行動できなくなるって思ったとき、またひとりになるのかなって考えちゃう。またクラスでひとり浮いちゃうのかな、って。みんな優しいし、今までだって仲間はずれになんてされたことないのに――」
 この先を言うのが怖い。
「御園生、もう一息」
 私はす、と息を吸い込み最後まで話す。
「信じているのに疑っているの。私が勝手に不安になって大好きな人たちを疑っているの。それを知られたら嫌われちゃうかなって、私が勝手に不安になって疑っているだけだから、呆れられても仕方なくて、でも、好きな人たちに嫌われるのはすごくすごく怖くて――今までが楽しかった分、ひとりになったらすごくつらいだろうなって――」
 息が吸えなくなりそうな緊張を感じていると、隣からクスクスと笑い声が聞こえた。