「……あまり難しく考えることでもないんじゃない? つまりは翠葉が司の側にいられると嬉しくて、側にいたいっていう気持ちなんじゃないの?」
「……ん? ――たぶん、そう」
「司はさ、翠葉のことを家族とかそういう形の身内とは思ってないだろ」
「……つまりは生徒会特権なのかなぁ、と」
「今度司本人に訊いてごらん」
「……それは嫌」
「どうして?」
 どうしてって、それは――。
「決定的な言葉が返されるのは怖いもの。『身内』が指すものが『家族』じゃなかったとして、それが『生徒会』という枠であってもあまり変わらない気がするの」
 コーヒーを淹れ終わった蒼兄は、美味しそうに一口飲んだ。