「ずるいっ」
「ずるいんじゃなくて、翠が阿呆なだけ」
 ずい、と腕時計を見せられる。
「とっとと上がって一時間くらい休め」
「あ、はい」
 席を立ち、高崎さんにお礼を伝えてからカフェラウンジを離れた。

 昨日は順番が逆で夕飯の時間には体力が底を尽きていた。
 今からお風呂に入ってしまうと昨日と同じで横になる時間が取れなくなる。
 それなら、ツカサが言うように、一時間寝てからご飯を食べて、そのあとにお風呂――そのほうが絶対的に効率がいい気がした。
 エレベーターが九階へ着くと、
「じゃ、またあとで」
 と、その場で別れる。