「そっ、空太っっっ! おまえはこんな翠葉と司の中に俺を放置していくのかっ!?」
「するする、高崎空他の融点超えたっ」
 ……沸点じゃなくて融点なんだ?
「私、何かおかしなこと言った?」
 それにツカサはここにいないんだけどな……。
「いや、もうなんていうか――そのままの翠葉ちゃんでいてくださいっ」
「……うん?」
 聞きたいと言われたからツカサとの会話を話したのだけれど、話を続けたらこの様だ。
 どうしたんだろう……?
 すると、そこへ私服に着替えたツカサが現れた。
「もう五時回ってる。翠はいい加減上がれ」
「うん。空太くんも帰るみたいだし、そうする」
 ツカサを目にしたふたりはさらに慌てだす。
「……本当にどうしたの?」
 訊くと、空太くんはツカサに向かって、
「自分、完敗っすっ! っていうか、失礼しますっ」
 と、かばんを持って走り去った。
「何?」とツカサに訝しげに訊かれる。