夕飯の前にはお風呂に入って少し寝ようと思っていたのだけれど、私は五時過ぎまで海斗くんたちとカフェラウンジにいた。
「す、翠葉っ――」
 海斗くんが赤面し、私の正面に座る空太くんも同じように顔を赤らめていた。
「……どうしたの?」
「いやっ、そのっ……翠葉ちゃんってすごいなっていうか、いや、藤宮先輩がすごいっていうか――」
「……俺、勝てっかな?」
 海斗くんは言いながら口を手で覆い、真っ赤な顔をして外に視線を向ける。
「……勝つって、何に?」
 訊いてみたけれど答えは得られない。
「いやっ、もういいっ! お腹いっぱい胸いっぱいっ、俺、帰るっっっ!」
 空太くんがテーブルに広げていたノートを片付け始める。