「翠葉さん……それ、激しく俺たちを侮りすぎでしょう?」
 海斗くんが引きつり笑いで言う。
「うん、本当にそう思う。でもね、どうしようもできなくて、すごく苦しいの――」
「……翠葉ちゃん、絶対に大丈夫だから」
 空太くんがずい、とテーブルに身を乗り出した。
「言葉で伝えてもダメかもだけど、でもっ、絶対に大丈夫だからっ。俺、翠葉ちゃんが不安そうな顔をしていたら、うざがられようと毎回そう言うって決めたんだ。藤宮先輩にだけいいとこ持っていかれたくないしっ」
 え……?
「な? 海斗っ」
 空太くんが海斗くんの背中をバシッ、と叩く。
「痛ぇし……。司のやつ、マジムカつくわ……」
「――あのねっ!?」
 本当にツカサは悪くないんだよ、と言おうとしたら、
「翠葉が庇えば庇うほどにムカつくんだよっ」
 海斗くんはその場で地団太を踏んだ。