「うん、そう」
 考えてみれば、試験前だというのにツカサを半日近く付き合わせてしまったのだ。
「今日、ごめんね」
「……何に対して?」
「病院へ付き添ってくれた時間に対して……」
「……翠の治療時間は本に目を通していたからとくだんタイムロスは生じてない。もしタイムロスした人間がいるとしたら、あいつらなんじゃない?」
 ツカサが見たのはエントランスホールのフロア続きにあるカフェラウンジ。
 そこには海斗くんと空太くんがいた。
 私とツカサがエントランスホールに足を踏み入れると高崎さんに声をかけられる。
 その直後、海斗くんがカフェラウンジから出てきたかと思うと、私をスルーしてツカサに掴みかかった。
 私はそんなふたりを目の前に何が起きているのかがわからなかった。