秋斗さんが横になっていた場所はまだあたたかい。人の体温には心をほぐす作用があるのかもしれない。
 少し体を起こしてみると、そこまでひどい吐き気はなかった。
「これなら自分で食べられるかも……」
 そこに秋斗さんが戻ってきた。
「大丈夫なの?」
「……今は大丈夫みたいです」
「良かった」
 私には苺タルトが差し出され、秋斗さんはアンダンテで売っているサンドイッチを食べるらしい。
 他愛もない話をしながらベッドの上でお昼を食べ薬を飲む。
「秋斗さん、ごめんなさい……。これを飲むとどうしても眠くなっちゃうんです」
「かまわないよ。そこのドアの向かいの部屋で仕事してるから。ドアは開けたままにしておく。定期的に見に来るから何かあればそのときに言って?」
「はい」