光のもとでⅠ

「秋斗さんは蒼兄以上に甘い気がします」
「蒼樹と一緒にされるのは嫌だな。俺は兄じゃない。彼氏だよ?」
 その言葉にも慣れない……。
「俺に誰が相応しいかは俺が決めることだし、翠葉ちゃんに誰が相応しいのかは翠葉ちゃんが決めることだ。ほかの誰の意思も介入しないよ」
 と、抱き寄せられる。
 秋斗さんの香りに包まれて目を瞑れば、まるでチャペルの森へトリップした気がする。
 規則正しい鼓動にを聞いていると、少しずつ気持ちが落ち着き始める。
 妊婦さんのお腹にいる赤ちゃんはこんな感じなのかな?
 ……じゃぁ、即ち私は赤ちゃんということ?
 そう思うと急におかしくなってクスクスと笑いがもれてしまう。
「どうかした?」
「いえ、秋斗さんの鼓動がお母さんの心音だとしたら、私はさしずめ赤ちゃんだな、と思って」
「君らしいけど、もう少し色気のあるたとえがいいなぁ……」
 そんなことを言いつつ、
「今度こそ本当にお昼にしよう? 戻ってきて泣いてるなんてやめてね」
 と、秋斗さんは体を起こした。