高崎の後ろにいる翠に話しかける。
「ついでに、高崎に訊かなくても直接俺に訊けばいいんじゃない? 翠に言った張本人に訊くのが一番いいと思うけど?」
血色の悪い唇が声を紡ぐことはなかった。
そんなことも想定内だけど。
「……教室からかばん持ってきたからこのまま行くよ」
右手のそれを少し持ち上げ告げると、目を瞠った翠を確認してから昇降口へ向かって歩きだした。
靴に履き替え一年B組の下駄箱に移動するも、翠はなかなか来ない。
廊下に顔を出し桜林館の方を見ると、翠は下を向いたまま、三年の下駄箱前で立ち止まっていた。
「翠」
俺の声に気づき、顔を上げては眉をハの字にする。
そのあと、若干ぎこちない動きで自分の下駄箱まで来ると、少しほっとしたような顔をした。
「ついでに、高崎に訊かなくても直接俺に訊けばいいんじゃない? 翠に言った張本人に訊くのが一番いいと思うけど?」
血色の悪い唇が声を紡ぐことはなかった。
そんなことも想定内だけど。
「……教室からかばん持ってきたからこのまま行くよ」
右手のそれを少し持ち上げ告げると、目を瞠った翠を確認してから昇降口へ向かって歩きだした。
靴に履き替え一年B組の下駄箱に移動するも、翠はなかなか来ない。
廊下に顔を出し桜林館の方を見ると、翠は下を向いたまま、三年の下駄箱前で立ち止まっていた。
「翠」
俺の声に気づき、顔を上げては眉をハの字にする。
そのあと、若干ぎこちない動きで自分の下駄箱まで来ると、少しほっとしたような顔をした。


