光のもとでⅠ

 桃は時計を指してタイムリミットが近づいていることを示唆する。
 みんなぐっじょぶでしょうっ! 
「ね? もし仮に翠葉ちゃんがそう思っていることに気づいたとしても、あそこにいるクラスメイトたちは変わらないと思わない?」
 学年全体はわからない。
 でも、うちのクラスには自信があるんだよね。
「時間が必要なら時間をかけてもいいからわかってよ。そうだな……たとえば、翠葉ちゃんが二十位脱落して生徒会から除名されたとしても、うちのクラスの出席番号二十八番は翠葉ちゃんで、その代わりになる人はいないんだよ」
 言葉は気休めにしからない。
 もしくは、気休めにもならない。
 でも、言わないよりは言ったほうがいいんだ。
 彼女の真っ直ぐな視線が俺を捕らえる。
 視線は真っ直ぐだけれど、瞳が揺らぐ。