光のもとでⅠ

 そして、じたばたする間もなく移動が始まる。
「空太くん、こっち」
 と、エントランスへ向かって走っていく。
 思わず、ピュ~、と口笛。
「さっすがもとスプリンター。すっげー瞬発力っ」
 その隣を並走する兄ちゃんだって、元陸上部でハイジャンの選手だった。
 ふたりともインターハイ経験者。
 なんだか世界が違うなぁ……。
 やっば……そんなこと考えてないで俺も急がなくちゃ。

 ロータリーに停まっていた車に乗り込み学校へと急ぐ。
 とはいっても、急いでいるのは運転しているお兄さんで、走っているのは車。
 車の中は終始無言。