「これも嫌?」
「違うのっ――あの……恥ずかしいだけなんです。今までに何度も抱っこされてるし、何度も手を貸してもらっているけど……好きって意識してから、すごく恥かしくて……」
 視界に秋斗さんを入れることができず横を向く。と、秋斗さんの手が首筋に伸びてきて顎を捕らえられた。
「……でも、慣れて?」
 と、唇にキスをされる。
 右手は秋斗さんに掴まれたまま。左手もベッドの上に押さえつけられてしまう。
 唇から離れたかと思ったら、こめかみや額、耳から首筋にかけて何度も口付けられる。
「んっ……秋斗さ――や……」
 恥ずかしくてどうにかなってしまいそう。顔だって赤いに違いない。けれども、
「お仕置き終了」
 そう言った秋斗さんはいつもと変わらない穏やかな表情をしていた。
 ……もう、怒ってない?
「もう怒ってないよ。これだけキスさせてくれればね」
 どうしたらいいのかわからないくらい恥ずかしくて、でも、隠れようがなくて、手も押さえられたままで――。
 気づけば頬を涙が伝っていた。
 嫌だったわけじゃないのに……。
 なんの涙なのか自分でもわからない。
 秋斗さんは涙を吸い取るように口を寄せた。