「どこへ行く?」
「え、あ……少々コンビニなぞ――」
「なら、その代わりに俺がコーヒーを淹れてやる」
「ややややっ、俺が食いたいのはバナナをまるっとクレープで包まれたケーキのようなアイテムでだなっ!」
「なら、それっぽいものを作ってやる」
「えええええっ!? 俺ごときの空腹で司の手を煩わせるなんて恐悦至極すぎて俺死んじゃうからっ」
「なら死ね……」
 そのまま海斗を引き摺って姉さんの家へ入る。
「もぉさぁ……夕飯まであと一時間切ってるんだから勉強はそのあとでもいーじゃん」
「時は金なり――三十分あれば問題用紙一枚くらいはいけるだろ」
 自室であって自室ではないその部屋に真っ直ぐと向かい、かばんを置くと手洗いうがいを済ませる。