それで過去に一度上位二十位から脱落しそうになったことがある。
 忘れもしない去年の今頃、体育祭前のこの期間。
 今回と同じ中間考査での出来事。
 だから今回はそんなヘマはしない。
 かといって、優太が教えながら作業を進められるか、というところまでは計算に入っていなかった。
 間違いなく、嵐に解き方を訊かれては作業が中断し、そのたびに考え中だったものを無に帰している。
 それには翠も気づいているようで、さっきからチラチラとふたりを気にしていた。
「ツカサ、私、優太先輩と仕事変わってもいい?」
「あ、翠葉ちゃん、それは申し訳ないからいいよ。こっち、かなりハードだし」
「だから、です。算段しながら別のことをするの、男の人は苦手なのでしょう?」
 読書好きだとは聞いていたが、そういう本も読むんだな。
 思いながらディスプレイの数字に目を走らせる。