「翠葉、ごめんね~……私だけが勉強してて」
 嵐が申し訳なさそうな顔で翠に謝る。
「今日一日くらい先に帰ってひとりで勉強すればいいものを」
「ホント、悪い……」
 優太も申し訳なさそうな顔をして頭を下げた。
「私が生徒会にいられるのって優太の苦労の結晶のようなものでね……」
 説明を始める嵐に、
「話をする余裕があるなら先に帰れ」
 俺が睨むと嵐はおとなしくなり、勉強の用意を始めた。
「翠は収支報告とリトルバンクの数字が一致しているかの確認。優太と俺はすでに分配してある金の残りそうな団体の予測。こんな作業に三日もかけるつもりはない。そのつもりで。はい、始め」
 嵐を梅香館館へ行かせて待たせることも可能だったが、あんなところへ放り込んだら間違いなく勉強ではなく被服関連の本を貪ることになるだろう。