家族や友達を並列で考えているのに、一番身近であるはずのあんちゃんや家族ではなく、司くんが一番だったってこと。
「翠葉は気づいてないんだろうけど、今、翠葉の心を占めているのは司なのかもしれないな」
「恐らくね……」
 夏休み中、ずっとリィの側にいたんだ。
 記憶をなくしたリィが彼に惹かれたってなんらおかしいことじゃない。
 もともと、彼の顔はリィの好み「ストライクど真ん中」らしいし。
 女の子ってさ、近くにいて話を聞いてくれる男には惹かれやすいんだよね。
 最初が幼馴染だろうが友達だろうが関係ない。
 好きな子の相談役から彼氏に昇格するなんて下克上話は学生時代によく聞いたものだ。
 そのくらい、普通にあり得る話。
 淡々と考えを固め始めると、隣からまたしても不穏な思考回路を披露される。