彼女を傷つけないで済むように、何度も自分のそれをしごき達する。
 虚しいといえば虚しい――でも、これで彼女を傷つけずに済むならそれでいい。
 だいぶ落ち着きを取り戻した自分に気合を入れ、時間の経過を知るべく携帯に目を向ける。
「四十分……それなり?」
 何がそれなりなのか自分でも意味はわからず……。
 とりあえず、今日に限っては長風呂だったことにしよう、とバスタオルで身体の水分を拭き取った。
 服を身に纏いドアを開けると、彼女はこちらに背を向け横になっていた。
 なんだかすごく嫌な予感がする……。
 こんな事態は以前にも経験がある。
 足音を立てずに静かに近づけば、やっぱり――と思うわけで。