『そりゃそうですよ。あれだけ食い散らかしてるのを見てきたら、自分の主観とは違いすぎて話す気すら起きませんって』
 返す言葉もございません……。
「それを言うなら若槻だって変わらないだろ?」
『でも、唯は遊びは遊びで派手だったみたいですけど、俺、こいつの本命知ってますから』
 さらりと返されて困惑する。
 ここへ来る前、若槻がそんな話をしていたけど、俺はその話の中身を知らない。
『嘘ですよ、先輩が想像してるようなえぐい話はしてません。部屋の照明について話してました」
 蒼樹の軽やかな笑い声が聞こえてくる。
 なんだ――。
『で? 秋斗さんは何がどうして頭冷やし中なのか知りたいですね』
『それは俺も知りたいです』
 携帯から聞こえるふたりの声が大きくなった気がする。