彼女がトイレに立ったとき、部屋中の明かりを消して回った。
 ベッド脇の窓際のキャンドルとストーブの明かり。
 それから、トレイに載せたキャンドルのみが灯っている。
 このくらいなら星もきれいに見える。
 ドアを開けた彼女はその暗さに一歩下がり、
「秋斗さん……?」
「ここにいるよ」
 クローゼット前にいた俺は、彼女に向かって手を差し出す。
 ようやく俺の顔がバスルームからの光で見えると、彼女はほっとした顔をした。
「翠葉ちゃん、星を見よう?」
 彼女は嬉しそうにコクリと頷いた。
 そんな彼女を連れてベッドへと向かう。
 ベッドの上に置いてあったトレイを見て首を傾げる彼女。