お茶を淹れていると、君をより濃く思い出す。
 表情や仕草、嬉しそうにお茶を淹れる君を……。
「秋斗さん、何かありましたか……?」
 何か、か……。
「……そうだな。覚悟した、ってところかな?」
「覚悟……?」
 まだ、覚悟したてで肝までは据わっていないけどね。
「正直、いいことはしてきてないかもしれない。それでも、俺にとっては翠葉ちゃんと過ごした時間はこれ以上ないくらいに大切なものだといえるから、思い出されることで俺が不利になることがあるとしても、やっぱり思い出してほしいんだ。さっき翠葉ちゃんが言ってくれたから、俺は俺らしく接する。だから、また全力で翠葉ちゃんを口説きにかかるよ」
「…………」
「真っ赤だね? そんなところも変わらない。どんな君でも、君にどんなふうに思われようとも、俺は君が好きだから。覚えていてね」
 彼女を真正面に見据え、少しだけ笑みを添えた。
 翠葉ちゃん、俺は君が好きだよ――。