本当にこの子は――。
「木田さんがハーブティーを持ってきてくれたんだ。だから、寒くはなかったよ。さ、行こうか」
 差し出した手をじっと見る。
 躊躇という感じではないけれど――手から視線は逸らさず右手を乗せる。
「どうかした?」
「いえ……ただ、何か思い出せそうな気がするから――ひとつひとつが見過ごせなくて……」
「とりあえず、今からは足元だけに注意を払ってね?」
「はい」

 昼間なら十分ほどの距離だが、この暗さではゆっくり歩かざるを得ない。
 ソーラーライトで足元が照らされてはいるものの、あくまで照らされているだけに過ぎない。
 木の根トラップはそこかしこに存在している。