「わかっていると思うけど、使えなかったら即切るから」
 先輩はにこりと笑って言い放つ。
「じゃ、月曜日に高校の図書棟、図書室奥に来て。午前中ならいつでもかまわない」
 そう言って通話を切った。
「なんですか? 今の物騒な電話」
 唯が話しかけると、
「使えればの話だけど、若槻たちの仕事が少し楽になるかもしれない人材が転がり込んできた。どうやら俺と同期で同じ科専攻してて万年次位だったらしい。俺よりは劣るけど、それなりには使えるんじゃない?」
「あぁ、やっぱり……。蜘蛛の巣に獲物がかかった」
「若槻、俺と同期の竜田誉(たつたほまれ)って人間、あとで調べておいて」
「了解」
「では、いざ眠れる森の美女のもとへ」
 なんて言いながら先輩が建物のドアを開けた。