もし、どうしても立ち上がれなかったら、そのときは俺が手を差し伸べるから――。
『あんちゃん、聞いてるっ!?』
「あぁ、聞いてる聞いてる」
『嘘だね、絶対に聞いてなかったでしょ』
 あれ……?
 気づけばその声は携帯というよりは真後ろから聞こえてきた。
「ほら、リィのとこ行くよっ!」
 ガツ――とどつかれる。
「いってぇ……」

 森へ続く小道を歩いていると、その先から話し声が聞こえてきた。
 先輩だ――。
「竜田(たつた)……? どちら様でしょう?」
 間違い電話か何か……?