緊張すると、すぐにそれに手が伸びるところを見ると、彼女の精神安定剤のようなものなのだろうか。
 もしかしたら蒼樹か若槻からの贈り物なのかもしれない。
「あ……」
 ふたりにはメールを入れておこう。
 ずっとこのまま彼女の寝顔を見ていたいけれど、彼女が目覚めるときには蒼樹と若槻がいたほうが安心だろう。
 今は彼女のことだけを考えて、彼女が少しでも楽しく、心穏やかに過ごせることを考えて――。
 翠葉ちゃん……俺はね、君が俺の隣で笑っていてくれたら、それだけで幸せだと思えるのかもしれない。
 あくまでも、「今」は。