人が集まる場所へ率先して出かけているように見える。
 俺には何をとっても面倒に思えて、楓の休日の過ごし方は理解に苦しむ。
 そんなことを考えていると、規則正しい寝息が聞こえてきた。
 良かった、眠れたらしい。
 ベッドまで行くと、右手だけしまい忘れた状態で寝ていた。
 枕に広がる髪がきれいだった。
 最近、その髪の毛のどこかしらは結ばれていることが多く、留めるものにはグリーンのきれいなとんぼ玉を用いていた。
 高価な細工ものではないが、彼女が好むのがよくわかる、そんな品。
 入院中からそれは彼女の側にある。
 久しぶりに会ったあの日も身につけていた。