「秋斗さんは……?」
「俺は休んでるよ。あの日と同じようにね。外は風が吹いているから上は着ていったほうがいいよ」
 薄紫のポンチョを手に、肩からかける。
 肩が細い……。
 もともと線の細い子だったけれども、なんていうか――居たたまれなくなるくらいに華奢。
 こんな近くで接するのが久しぶりだから余計にそう感じるのか……。
「戻ってくるときはどうしたら――」
 振り返り言いかけてすぐに口を噤んだ。そして新たに口を開く。
「あ、戻るのはなしで……。写真を撮り終えたら本館へ戻ります」
 何事もなかったように笑みを添えて見せた。
「翠葉ちゃん、そんなに気を遣わなくていいよ。俺は、君がここへ戻ってきてくれるならそのほうが嬉しい」
 そんな意外なことを言ったつもりはないのだけど、彼女は「いいんですか?」という顔をしている。