「蒼兄と唯兄はきっとだめなんて言わないです」
 どうやら彼女は蒼樹と若槻が俺に全幅の信頼を寄せていると思っているらしいけど、
「それはどうかなぁ……」
 苦笑しながら紙袋の中身を取り出す。
 蒼樹と若槻、蔵元――この三人は俺という人間をより深いところで理解してくれている気がしなくはない。
 ただ、俺はそんな付き合いをしてこれたのか……。
 そこに不安がある。
 人付き合いなんて深く考えたこともなかったんだ。
「ハーブティーのパックもある。ストーブをつけてお湯を沸かそう」
 紙袋の底にあったパックを見つけて彼女に渡す。
「それっ、私がやりますっ」
「じゃ、お願いしようかな」
 彼女はゆっくりと立ち上がり、三つのストーブを一巡する。