俺も一緒になって彼女へ視線を移すと、
「少し羨ましいなって――なんでもないです……」
 彼女は恥ずかしそうに口もとを覆った。
 苦虫を噛み潰したように笑う。
 別に、そんなことは普通に口にしてくれてかまわないのにね。
「それでは、ごゆっくりお過ごしください。ディナーの準備が整いましたらご連絡いたします」
 彼女のもとへ戻ると、まだ恥ずかしそうにしていた。
「ここに泊まりたかった?」
「……夜がどんな雰囲気か知りたかっただけです。今日は晴れているからきっと星もきれいでしょうね」
 君の願いならなんでも叶えてあげたいんだよね。
「ディナーは七時から。そのあと食休みしてから治療だっけ?」
 彼女の予定を訊くと、
「いえ、ご飯の前に治療することになりました。じゃないと、昇さんたちがお酒飲めないって」
 彼女はクスクスと笑いながら答える。