光のもとでⅠ

 もう、どこから変な自分なのかなんて思い出せない。
 俺らしいというのが何を指すのかすらわからない。
 彼女が俺を変だと思うのはなぜだろう。
 記憶は戻っていないはずなのに――。
 それでも、今の俺を見て「変」だと感じるのはどうして……?
 君の中にはまだ「俺」という片鱗が残っているのかな。
「ごめんね。……どうしたらいいのかがわからないんだ」
「え……?」
 こんなことを話したらまた君を困らせてしまうのかもしれない。
 でも、今の自分を話す以外に説明のしようがないんだよね。
「君を傷つけてしまうことが怖い。でも、君の近くにいたい。君と話をしたい。――前回来たときの話をどこまでしたらいいのかわからない。翠葉ちゃんの表情や仕草、行動を見ていると、すべてがあの日とかぶる。でも、今日っていうこれから起きる出来事を大切にしたいとも思っていて――どうしたらいいのかがわからないんだ」
 足を組んだ上に乗せていた手に視線を落とす。