「木田さん、お久しぶりですっ!」
「栞お嬢様、ますますおきれいになられたのでは?」
 木田さんは栞ちゃんといくつか言葉を交わすと、
「昼食はどうなさいますか」
「木田さん、自分と翠葉ちゃんは前回と同じように」
「かしこまりました」
「あ、俺の飲み物だけ変えてください。彼女と同じハーブティーに」
「それでは、のちほどお部屋の方へコーヒーをお持ちいたしましょうか」
「実は、コーヒーも酒もやめたんです」
 苦笑しつつ答える。
 木田さんは一瞬目を見開き、すぐに表情を改めた。
「さようですか。それではお部屋のお飲み物もハーブティーにお取替えいたしましょう」
 この人には数回しか会っていないものの、俺が無類のコーヒー好きであることもウィスキーが好きなこともすべて把握されている。