「今日明日とお世話になります」
 蒼樹のあとに若槻が、
「広報部の若槻です。お目にかかれて光栄です」
 こういう場での若槻や蒼樹の対応に心配させられることはない。
 若槻はホテルでしっかり教育されているし、蒼樹は躾が行き届いている。
「あなたが若槻くんでしたか。お噂はかねがねうかがっております」
 籍自体は藤宮警備に置いてあるものの、出向という形でウィステリアホテルに入ってからは三年。
 その三年で、若槻は静さんの信用を得て職場での信頼も築いている。
 実際、それだけの仕事量をこなしてきたわけだ。
 俺は基本的なスキルと場所を与えたに過ぎない。
 あとはすべてこいつの努力。