光のもとでⅠ

 惨め――そんな気持ちになるのだろうか。
 至らない、と自分を責めるのだろうか。
 昇さんの手が離れると、
「向こうに着いたおまえらはどうすんだ?」
「俺は彼女を連れて森へ――前回パレスへ行ったとき、大半の時間をそこで過ごしたので」
「なるほどな。ま、昼前には着くとして、俺と栞はランチまでレストランで茶でも飲みながらのんびりするかな」
「俺らは? ……あんちゃんとらぶらぶ?」
 若槻が蒼樹を見上げると、
「気持ち悪いことを言うな」
「冗談だよ」
 若槻の表情が豊かになった。
 以前からよく笑っていたものの、あそこまで柔らかい表情はしなかった。
 御園生家パワー凄まじ……。