光のもとでⅠ

「何なに? 寄ってたかって秋斗くんいじめ? 私も混ぜて?」
 昇さんと腕を組み、にこにこと笑いながらやってきたのは栞ちゃん。
「栞はトイレに行くんだろ?」
 昇さんに背を押されて、
「今日の翠葉ちゃんもかわいいわね」
 と、一言だけ残しトイレへとスキップするように駆けていった。
「うちの奥さん、パレスに行くって決まってからずっとご機嫌だよ」
 そんなふうに言うものの、昇さんは呆れた顔ひとつ見せない。
 つい、そんな関係が羨ましくなる。
「寝られたか?」
「おかげさまで」
 そんなやり取り蒼樹と若槻に聞かれたいはずもなく、でも、余裕がないのなんて隠しようがないほどにばればれで――。