光のもとでⅠ

「あれー? 秋斗さん、リィは?」
「トイレじゃない?」
 俺が答える前に蒼樹がトイレを指差した。
「あぁ、なるほど」
「栞さんたちの車、俺らの後ろについてたんで、駐車場に停めたらすぐに来ますよ」
 それはどうでも良くて、俺が知りたいのは――。
「蒼樹、翠葉ちゃんにあの日に着ていた洋服の話とかした?」
「……あぁ、そう言われてみたらスカートが一緒ですね。でも、俺は何も話していなし、誰から聞いたってわけじゃないと思いますよ」
「そう……」
「先輩、そんなんでどうするんですか……。この旅行中に翠葉の記憶が戻ったときの覚悟くらいしてて欲しいもねすね」
 それはそうだ……。
 今の俺じゃ頼りなさ過ぎる。