光のもとでⅠ

 外に出れば少し風が吹いている。
 彼女は車から降りると伸びをし、深呼吸をしていた。
 寒がっているようには見えない。
「蒼兄たちはまだですね?」
 次々と入ってくる車を見て言う。
「でも、そんなに離れてはいないだろうから、すぐに来るよ。じゃ、ここで待ってるからね」
 トイレから少し離れた場所にある木の前で別れた。
 彼女は人が前から歩いてくると立ち止まる。
 たぶん、左右どちらに避けたらいいのか悩んでしまうからだろう。
 そんな彼女を見ていると、ほかの男どもの視線も彼女に集っていることに気づく。
「早く建物の中に入ってくれないかな……」
 思わずぼやいてしまう。
 人の視線を集めていることに全く気づいていない君。
 そんなところもあの日と変わらない。