光のもとでⅠ

「司先輩は窓際が好きですか?」
 ふと気づいたことを口にする。
 図書室でもたいていは窓際に座っていて、秋斗さんの仕事部屋でもそう。
 湊先生のおうちの司先輩の部屋は窓際にデスクが置いてある。確か教室の席も窓際だった。
「なんとなくってだけ」
「私も窓際が好き……。空を見ると落ち着くんです。それに、陽の光や風を感じることができるから、だから好き……」
「……右に同じく」
 びっくりして司先輩の顔をまじまじと見てしまう。
「何」
「意外です」
「知ってはいたけど失礼なやつだな」
 眉間にしわを寄せて口もとを歪める。
 機嫌が悪いよりも、照れ隠しに見えてクスリと笑みがもれた。
「口外はしないように」
「はい、秘密にします」
 最近、先輩との距離が少し縮まった気がした。
 海斗くんたちみたいに"友達"という感じではない。でも、とても頼りになる人。
 前は話すのも少し怖かったけど、今は普通に話せる。
 学年は違うけど同い年って、なんだか不思議な感じだ。